人生100年時代の都市活用提案書 - 人生100年時代の都市活用提案書, 2019

Panasonicのスペース&メディア創造研究所から依頼を受け、人生100年を見据えるこの時代に、合理的で画期的な都市の活用方法を模索するためのリサーチをおこないました。最新技術や研究のスペシャリストであるこのクライアントは、多くの研究プロジェクトを実施しており、そのどれもが未来的な風景と革新的な生活を描き出しており魅力的でしたが、私たちの考えるご超寿社会はもう少し「近く」て「親しみやすい」ものだったので、「見慣れた風景の再編」をテーマにリサーチと提案を模索しはじめました。

私たちに求められたのは、都市・建築的視点からのリアリティのある提案でした。超高齢化社会で起きる需要や高齢者による空間的な動向などを紐解きながら、最新技術やデータと空間を結びつけ、高齢者に特化した100の提案をすることを当初の目的としました。しかし対象を高齢者のみとすると偏りが感じられたため、ご超寿社会をもう少し俯瞰することができるように、若い世代の存在もこの提案書の端々に盛り込むことにしました。

目指したのは、アイデアのひとつひとつは生活の断片でありながらそれを並べることで生活の豊かさが感じられるような提案書でした。それゆえ、まずは「見慣れた風景」を構成するまちの生活文化を改めて想像しなおすことからはじめました。

「食事」「労働」「買い物」といった生活に必要な営みから、「友達」「家族」「コミュニティ」という所属、そして「年金」「投資」といったお金に関すること、そして「公園」や「空き地」といった空間に関することまで、約20の項目をテーマとして掲げ、日本だけでなく世界での事例を合わせてリサーチしました。

提案書は、内容を想像をしやすいように、それぞれのアイデアでどういう層へのアプローチかを明らかにしています。「都市・地域・住居」という規模、「コミュニティ・家族・個人」といった対象、「壮年・中年・高年」といった年代に分け、また生活の営みの種類を示すラベルを組み入れ、アイデアがどのように社会に変化をもたらすか/人生100年時代にどう関わるか/参照事例を盛り込み、丁寧にそして端的に解説しています。
  • Year

    : 2019
  • Collaboration

    : 榊原 充大